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 あたりの景色《けしき》が、青い光をたたえて、ゆらめいてみえる。  あっと思うまもなく、チャグムは、幾千万《いくせんまん》もの精霊《せいれい》たちがうごめく光の海のなかにいた。  遠くから、バルサの声がきこえてきたが、それは、水のなかできく音のように、くぐもってひびき、なにをいっているのか、よくわからなかった。その声よりも、自分をとりまいて泳《およ》ぎまわっている精霊たちの音のほうが、はるかに大きく、はっきりときこえる。  チャグムは、目をとじた。 (……ナユグだ。)  ここは、ナユグ(異界《いかい》)とサグ(この世《よ》)の結《むす》び目《め》なのだ。 (ひかれては、だめだ。――心をたもたねば……。)  まるで水流《すいりゅう》にひきこまれるように、ものすごい力が自分をおしつつんで、ナユグにひきこんでいくのをチャグムは感じていた。全身《ぜんしん》にナユグの水がしみこんできて、身体《からだ》がとけていく。じんわりとしたぬくもりが身体にひろがっていく。  肩《かた》でささえているバルサの重みを感じることで、チャグムはひっしに、自分の心をサグの側《がわ》につなぎとめようとした。  ――チャグム?  バルサの声がかすかにきこえる。  その顔が、瑠璃色《るりいろ》の水のむこうに、ゆらめいてみえる。とけてしまいたいという思いは、あまりにも、はげしく、つよかった。  チャグムは、バルサの背《せ》にまわした手で、バルサのカッルをにぎりしめた。  バルサは、とまどっていた。  自分をささえて歩いてくれていたチャグムが、いきなり立ちどまり、はげしくふるえはじめたのだ。自分の背《せ》を、チャグムが、すがりつくようにつかむのを感《かん》じて、バルサはあわててチャグムを抱《だ》きしめた。
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